黒澤明監督の「乱」は今の現代をも表現している
いやー最近黒澤明監督の作品をよく見ています(笑)
今回紹介させていただくのは「乱」という戦国時代や現代をも反映している壮大な黒澤映画です。
この乱という作品は戦国時代に活躍した中国地方の戦国武将毛利元就を題材にしています。
「3本の矢」という1本では折れるけど3本なら折れないという話は有名ですよね?その話をまんま逆に用い一族の滅ぶまでのfailure story(失敗話)なんです!ここがこの話のミソであり面白い所でもあるんですよね。
では具体的なあらすじと登場人物をネタバレしない程度で紹介していきます。
1 あらすじ
戦国時代、齢70歳の戦国武将一文字秀虎には、息子が太郎、次郎、三郎の3人がおり隣国の領主を招いた席で突然隠居宣言をする。その折に1本の矢はすぐに折れるが、3本の矢は折れないと言い息子3人に力を合わせて国を守るように言う。
しかし三郎は、その3本の矢を力ずくで折り、「皆敵対し力を合わせることはないであろう、父は狂ったか」と発言し、秀虎はその発言に激怒し三郎と親子の縁を切り三郎を追放する。三郎はその後行方をくらます。
一の城を太郎、二の城を次郎に任せ秀虎は隠居をする。
家督を継いだ太郎だが、正室の楓の方に秀虎から家督の証である馬印を譲渡するように言われそこで秀虎の家来と太郎の家来との小競り合いが起きる。太郎が秀虎を城に招き今後一切の命令に従うように秀虎に言い、それに怒った秀虎は次郎の二の城を目指す。
二の城でも家督がある太郎の命令には逆らえないとした次郎は秀虎を冷遇しそれに怒った秀虎は二の城も去っていく…
その後三郎の家来が守っていた誰もいない三の城に落ち着き安堵の時を迎えるが、なぜか城が燃えおり、外からは兵士の戦う声が聞こえていた。攻めてきた兵士は太郎と次郎の兵士であった…
以上が映画中盤までのあらすじです。親子の絆の脆さや人間の醜い私利私欲がもろに表した現在にも通じる作品です。消えた三郎にも注目です。
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2 主な登場人物
一文字秀虎
↑本作の主人公。自らの傲慢さもあり太郎、次郎を含む数多くの者から恨まれている。
一文字太郎孝虎
↑家督騒動で秀虎と揉め秀虎のいる三の城を攻める。左にいる正室楓の方がより親子関係をこじらせる。
一文字次郎正虎
↑自分の意志を秀虎や太郎に言わず、表向きは従う振りをする。おいしいとこはちゃっかり持っていく
一文字三郎直虎
↑裏表なく正直者が故に秀虎に怒りを買い国を追放される。しかし一番の父親想いである。
狂阿弥
↑幼い頃から秀虎のお世話(お守り)をしている。人の心を考えない発言で多くの兵士の反感をしばし買う。中盤~終盤での彼の演技は鬼気迫るものがある。(狂阿弥は若き日のピーターさんである)
感想
実際映画を見てみて、人間の欲を存分に表している作品だなと思いました。実際の毛利元就の3本の矢みたいに協力することなんてとても無理と思わせ、現実味を帯びています。現代の相続でも同じことが言えるのでこの作品は黒澤明監督が現代の私たちに残したメッセージなんですね。
まとめ
・3本の話を逆手に取っているのが面白い
・親子・兄弟間の絆のもろさを表現している作品
・結末はまさかのバッドエンド?
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